障害ある児童の小学校の就学率は全体で25%程度 16万人の障害ある児童が小学校に行けない
現在ベトナムの障害ある児童の小学校の就学率は全体で25%程度とみなされる。
ベトナムの障害ある6歳から10歳の児童およそ21万人 のうち、52,244人 が初等教育を受けているという現状である。ベトナムにおいて特別学校は各省に1校しかなく、田舎に住む障害ある児童が町の特別学校に通うというのは不可能に近い。
インクルーシブ教育は、ベトナムの政府の方針、特別学校の数が少ない現状、世界的な障害ある児童に対する教育の潮流から、非常にニーズの高い事業である。当事業は、公立小学校の教師の教師にインクルーシブ教育研修を実施し、教師が障害ある児童を受け入れ、より多くの児童が初等教育を受けられることを目的としている。
ベトナム政府は、各省の教育局にインクルーシブ教育推進を奨励しているが、各省の教育局、地区の教育室、各小学校の現場では、インクルーシブ教育を進める中で多くの問題を抱えている。

キンザン省 チャビン省
キンザン省、チャビン省
メコンデルタ地域の貧困は、他省より深刻である。メコンデルタの地方の多くの村では、人民委員会のご担当者が、「村の9割の壮年が、この地では食べられなくて、ビンユン省やドンナイ省に出稼ぎに行き、村に残ったのは、老人と子供ばかりだ。」と話されていた。
メコンデルタ地域の1人あたりの年間所得の平均は、1,535ドル(3,460万VND)で、国内で最も低い収入の1つである。全国平均は、2,000ドル(4,620万VND)以上である。また、メコンデルタ地域の早期学校を退学する子供の割合は、他の地域の3倍である。
メコンデルタは肥沃な土地で農業には好条件であるが、中間ブローカーによる低価格の米の購入が、農家の家計を圧迫している。さらに、近年の温暖化による海面の上昇は、田畑に海水侵入を起こさせ、作物は壊滅してしまう。また家財をすべて流される。それが農家の土地放棄を引き起こし、近年の浮遊民の増加に繋がっている。
[Empty bowl: Poverty floods Vietnam’s Mekong Delta] A More Vulnerable World by Earth Journalism Network 17th Dec 2015
ビントゥアン省の障害ある児童の就学状況
ビントゥアン省には、127のコミューンがあり、17のコミューンが高地に、62のコミューンが山岳地帯に、3のコミューンが島にある。また、26の少数民族がいて人口全体の6.9%になる。
2017 - 2018
学齢期における障害ある児童の数:763人(診断書ある児童&診断書ない児童)
特別学校に通う児童の数:4人
近隣の小学校に通う児童の数:632人(診断書ある児童&診断書ない児童)
事業実施1年目:83%の障害ある児童が初等教育を受けている
2018 - 2019
学齢期における障害ある児童の数:852人(診断書ある児童&診断書ない児童)
特別学校に通う児童の数:3人
近隣の小学校に通う児童の数:724人(診断書ある児童&診断書ない児童)
事業実施2年目:85%の障害ある児童が初等教育を受けている
2019 - 2020
学齢期における障害ある児童の数:680人(診断書ある児童)
特別学校に通う児童の数:0人
近隣の小学校に通う児童の数:649人(診断書ある児童)
事業実施3年目:95%の障害ある児童が初等教育を受けている
2017年~2020年 ビントゥアン省インクルーシブ教育研修システムの構築事業を実施した。(日本NGO連携無償資金協力)
アンザン省の障害ある児童の就学状況
アンザン省は、カンボジアと接した位置にあり、多くのクメール人が居住している省である。主だった産業もなく、カントーのような観光地でもないので、ベトナムの貧困地域の1つとみなされている省でもある。
2017 - 2018
学齢期における障害ある児童の数:792人(診断書ある児童&診断書ない児童)
特別学校に通う児童の数:174人
近隣の小学校に通う児童の数:434人(診断書ある児童&診断書ない児童)
事業実施1年目:78%の障害ある児童が初等教育を受けている
2018 - 2019
学齢期における障害ある児童の数:663人(診断書ある児童)
特別学校に通う児童の数:150人
近隣の小学校に通う児童の数:357人(診断書ある児童)
事業実施2年目:76%の障害ある児童が初等教育を受けている
2019 - 2020
学齢期における障害ある児童の数:626人(診断書ある児童)
特別学校に通う児童の数:144人
近隣の小学校に通う児童の数:399人(診断書ある児童)
事業実施3年目:87%の障害ある児童が初等教育を受けている
2017年~2020年 アンザン省インクルーシブ教育研修システムの構築事業を実施した。(日本NGO連携無償資金協力)
ラムドン省の障害ある児童の就学状況
ラムドン省はベトナムの山間部に位置し、事業の研修実施場所であるドンナイ省に隣接する省である。
2014 - 2015
特別学校に通う児童の数:206人
近隣の小学校に通う児童の数:419人
2015 - 2016
特別学校に通う児童の数:211人
近隣の小学校に通う児童の数:490人
2016 - 2017
特別学校に通う児童の数:210人
近隣の小学校に通う児童の数:569人
当会では、2008年ラムドン省のキーティチャー30名に対してインクルーシブ教育研修を実施した。 (日本NGO連携無償資金協力)
2014年~2017年 ラムドン省インクルーシブ教育研修システムの構築事業を実施した。
(日本NGO連携無償資金協力)
ドンナイ省の障害ある児童の就学状況
ドンナイ省は南東部、ホーチミン市に隣接している省である。
2013 - 2014
学齢期における障害ある児童の数:1,351人
特別学校に通う児童の数:127人
近隣の小学校に通う児童の数:1,019人
事業実施前:75%の障害ある児童が初等教育を受けている
2014 - 2015
学齢期における障害ある児童の数:2,386人
特別学校に通う児童の数:148人
近隣の小学校に通う児童の数:1,195人
事業実施1年目:50%の障害ある児童が初等教育を受けている
2015 - 2016
学齢期における障害ある児童の数:1,896人
特別学校に通う児童の数:154人
近隣の小学校に通う児童の数:1,118人
事業実施2年目:59%の障害ある児童が初等教育を受けている
2016 - 2017
学齢期における障害ある児童の数:1,776人
特別学校に通う児童の数:164人
近隣の小学校に通う児童の数:1,412人
事業実施3年目:80%の障害ある児童が初等教育を受けている
当会では、2008年ドンナイ省のキーティチャー30名に対してインクルーシブ教育研修を実施した。
(日本NGO連携無償資金協力)
2011年~2013年 ドンナイ省インクルーシブ教育研修システムの構築事業を実施した。
(JICA草の根技術支援協力)
2014年~2017年 ドンナイ省インクルーシブ教育研修システムの構築事業を実施した。
(日本NGO連携無償資金協力)